怒ると、誰かを傷つけてしまうかもしれない。そう感じて、自分の中の怒りをうまく表に出せずにいた宮﨑晃太郎さん。
2泊3日のリトリートで気づいたのは、怒りには、人へ向ける攻撃とは違う使い方もあるということだった。身体を動かすワークや呼吸の時間を通して、その力を、自分の暮らしや生きる原動力へ向けられるのではないかと感じたという。
森の中で過ごし、日常から離れて自分を見つめる。「人生で一番大事なものを取り戻した」。そう語る体験を、本人の言葉からたどる。
怒りを出そうとすると、動きが小さくなった
感情を身体で表すワークの中で、怒りを表現する場面になると、動きが小さくなった。宮﨑さんは言われた通りに踊っているつもりだったが、先生から、急に消極的な動きになっていることを指摘された。
そのとき、自分が怒りを怖がっていることに気づいた。怒りが攻撃へ変わり、人や自分を傷つけ、衝突が大きくなってしまうのではないか。そうした恐れから、怒りを消極的なものとして捉えていたという。
宮﨑
自分は怒りを出すことが、とても下手くそだったので。怒りのワークショップのときのダンスが、すごく小さいものになって、どうしていいかわからず戸惑っていました。自分が怒りのエネルギーに対して、大変恐れがあるんだと気づいたんです。
自分のために、そのエネルギーを使う
怒りを人へぶつけるのではなく、自分へ向けたらどうなるか。宮﨑さんが挙げたのは、掃除や、後回しにしていた書類を片付けるといった身近な場面だった。
面倒だと感じていたことに、「もうさっさと片付けよう」と動く力を使う。怒りをただ抑えるのではなく、日常を動かすエネルギーとして扱えるのではないか。そんな感覚が生まれた。
宮﨑
例えば掃除をするときに、怒りのエネルギーを使って一気に片付けてやるとか。今までやっていなかった書類を、一気に片付けるとか。そういうエネルギーの使い方を、もっと日常的に広く使えるようになったような感覚はあります。これからですけど。
「これからですけど」。そんな言葉を添えながら、今回つかんだ感覚を、これからの暮らしへ持ち帰ろうとしていた。
呼吸の中で湧き上がった、生きるための力
最後の呼吸の時間には、はじめ、気になることや雑念が浮かんでいた。そこから怒りの力を使うことで、呼吸へ集中した状態になれたと話す。
呼吸が終わり、リラックスした瞬間。宮﨑さんは、強い言葉が自分へ届くように感じたという。最初は戸惑い、ショックを受けた。しかし、その言葉へ向き合ううちに、「生きるためのエネルギーが湧いてきた」と振り返る。
宮﨑
生きるためのエネルギーが、ブワーッと湧いてきて。そんな感情が湧いたのは、本当にいつぶりぐらいかな、と。子どものときは、そうやって怒りを表す感覚があったと思うんだけど、大人になると、それは幼稚なことだし、不調和だと思っていた。でも、自分が自分を生きるということにおいて、そのメッセージが僕には一番必要だったんだなと感じました。
優しさや調和を大切にしながら、自分が生きていくための情熱にも目を向ける。宮﨑さんにとっては、これまで遠ざけていた感情と、自分の生命力がつながる体験だった。
森の循環の一部として、自然体の自分へ
身体や呼吸のワークだけでなく、森に滞在していたことも心に残っている。森の息吹に触れ、その循環の一部にいる感覚を通して、自然体の自分を取り戻したように感じたという。
宮﨑
この素晴らしい森にずっと滞在することで、森との一体感、この森の生きている息吹、循環の中の一部になれていることによって、自然体としての自分を取り戻した。森からのヒーリングのようなものも、自分の中ではあったように感じます。
自分の内側を見つめる時間と、森の中に身を置く時間。その両方が、今回の3日間を形づくっていた。
日常を離れて、自分を見つめる時間
何がしたいのか。自分を何が止めているのか。普段の生活や社会の中では、自分へじっくり集中する機会を持ちにくいこともある。
今回のリトリートは、呼吸を通じて自分の中へ入り、自分を見つめることをゆっくりできた時間だった。これから参加する人へ、宮﨑さんはこう話す。
宮﨑
僕は今回、2泊3日で、呼吸を通じて自分の中へ入っていって、自分を見つめることをゆっくりさせてもらいました。すごく尊い、贅沢な時間でした。その中で僕は、生命力、生きる原動力みたいなものを取り戻させていただいたんです。
何のために生きるのか。これから何を生きがいにしていくのか。そうした問いを抱える人にとって、この時間が一つの選択肢になるのではないかと宮﨑さんは感じている。
nehanは、自然の中で自分の感情や身体に向き合い、自分自身の言葉を見つけていく時間を大切にしている。宮﨑さんが受け取ったのは、怒りを怖がっていた自分の奥にも、生きるための力があるという気づきだった。
- 怒りを表現するワークで、自分が怒りを怖がっていることに気づいた
- 掃除や後回しにしたことへ、そのエネルギーを向ける使い方を考えた
- 呼吸の体験と森とのつながりを通して、生きる原動力を取り戻したと感じた
- 2泊3日を、自分をゆっくり見つめる尊く贅沢な時間と振り返った