リトリート詳細

「走馬灯を見る旅」2泊3日のnehanリトリート

詳細はこちら

同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由

この記事の要点

  • 同じ失敗を繰り返す心理には、失敗行動を止める脳の学習回路と、失敗をどう意味づけるかが関わっています。
  • 「また失敗する」と思うほど緊張が増し、予測どおりの行動を選びやすくなる悪循環があります。
  • 抜け出す入口は、反省を増やすことではなく、失敗を一つの行動として具体的に見直すことです。

月曜の朝、9時12分。上司から「この資料、数字が違うよ」とチャットが届く。通勤電車のドアが閉まる音みたいに、胃のあたりがきゅっとなる。謝りながら、頭の中ではもう別の言葉を繰り返しているかもしれません。

「またやった」

締切直前まで先延ばしする。苦手な相手に必要以上に合わせる。飲み会の帰りに、もう連絡しないと決めた人へメッセージを送る。転職先でも、なぜか前の職場と似た苦しさを選んでしまう。

たぶん、あなたにもあるはずです。やるたびに「次こそ」と思っているのに、気づくと同じ場所で同じ転び方をしている。しかも厄介なのは、転んだあとに自分を責めるところまで毎回同じ、ということです。人生、そこまで律儀に再現しなくていいんですけどね…。

同じ失敗を繰り返す心理とは、過去の失敗から得た予測や感情が、次の場面の注意・判断・行動を狭め、結果として似た行動を再生してしまう心のループです。

「どうせまた精神論でしょ」と思いました? その警戒はまともです。気合いやポジティブ思考だけで片づける話なら、ここで読むのをやめていい。失敗は根性の不足で起きる、という話は雑すぎます。

僕は、反省は多いほど人を変える、という考えを半分は嘘だと思っています。反省が「自分はダメだ」の再確認になっているなら、それは学習ではなく、同じ脚本の読み直しだからです。反省会を何時間やっても、次の一手が変わらなければ、それは反省ではなく自分へのダメ出し大会です。

失敗を人格にすると、次の行動を観察できなくなる。

脳は「失敗したこと」を自動で止めてくれるわけではない

まず少し意外な話から。ドーパミンというと、気持ちよさや報酬の物質というイメージが強いですよね。甘いものを食べたとき、通知が来たとき、欲しかった返事が来たときに出るもの、という感じでしょうか。けれど大阪大学の疋田貴俊教授らが2023年に発表したマウス研究では、側坐核にあるドーパミンD2受容体を発現するニューロン、いわゆるD2ニューロンが、同じ失敗行動を抑える働きに関わることが示されました。

研究では、D2ニューロンの活動を抑えると、失敗につながる行動を止めにくくなり、反復率が有意に増えました。反対に活動を促すと、その失敗行動の抑制が強まった。人間にそのまま当てはめられる研究ではありません。でも、「失敗したのだから次は自然にやめられる」という常識には、かなり冷たい結果です。

脳は失敗を一度経験しただけで、赤ペンを入れてくれる編集者ではない。むしろ、疲労、焦り、慣れた報酬が重なると、いつもの行動を再生しやすい装置でもあるんです。失敗した記憶より、その場で少し楽になる行動のほうが強く残ることがある。ここを見落とすと、「わかっているのにやる自分」を必要以上に悪者にしてしまいます。

たとえば夜11時20分、台所で洗い物を前にしている場面。明日の朝でいい、とスマホを開く。動画を一本見て、気づけば0時。翌朝は慌てて出て、また「自分はだらしない」となる。これ、洗い物の前で何度も同じことをしてしまう人には、かなり見覚えがある場面じゃないでしょうか。ここで起きているのは、皿洗いの失敗というより、疲れた状態で即時の気晴らしを選ぶ回路の再生です。人格の欠陥、ではない。

POINT

同じ行動を止めるには、「失敗した」と大きく裁くより、直前に何が起きていたかを細かく見るほうが役に立ちます。時刻、場所、身体の疲れ、相手の言葉。行動はだいたい、こういう地味な条件に引っぱられています。

ここで大事なのは、「またスマホを見た」という結論だけで終わらせないことです。夕食後からずっと気を張っていたのか。明日の予定が嫌だったのか。そもそも洗い物が多すぎて、始める前からうんざりしていたのか。脳は言い訳の制作費が潤沢です。でも逆に言えば、条件が見えれば、変えられる場所も見えてきます。

「失敗した」の中身が曖昧だと、学習は起きにくい

同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由 のイメージ 1

ソーンダイクは1898年、試行錯誤学習の考え方を示しました。ざっくり言えば、結果のよい行動は残り、望ましくない結果につながる行動は弱まりやすい、という話です。

ただし、失敗を正確に認識し、記憶し、何が原因だったかを扱えなければ、この学習は進みません。ここが厄介です。「商談がうまくいかなかった」を「自分には営業の才能がない」と処理した瞬間、次に変える対象が消えます。話す順番なのか、準備不足なのか、相手の予算を聞かなかったことなのか。全部が一緒くたになるからです。

これは、熱が出たときに「体が弱い」とだけ言って、体温も症状も調べないようなものです。原因を大きな人格の話にしてしまうと、対処ができなくなる。世間は失敗したら深く反省しろと言う。でも僕は、深く反省する前に、細かく見るべきだと思っています。性格を直そうとするより、ひとつ前の行動を見つけるほうが、ずっと現実的です。

金曜の18時、オンライン会議が終わる。画面に映る自分の顔が妙に疲れて見えて、「また空気を読めなかった」と落ち込む。でも録画やメモを見返すと、問題は空気ではなく、最初の5分で確認すべき納期を聞かずに話を進めたことだった、ということがある。会議が終わったあと、パソコンを閉じてもあの一言だけが頭に残ること、ありますよね。失敗の名前を間違えると、次回も「もっと感じよく話そう」と的外れな努力をしやすい。

反省会で人が疲れるのは、失敗そのものより「何を直せばいいかわからない」という宙づりの感覚かもしれません。「次は気をつけます」と言っているのに、何に気をつけるのか自分でもはっきりしない。これはしんどいです。

だから、失敗した日のメモは立派な日記でなくていい。メモアプリに三十秒で残すくらいでいいんです。残すなら、この三つで十分です。

  • 何が起きたか:評価語を抜き、カメラの映像のように書く
  • その直前に何を予測していたか:「断られる」「面倒になる」などを拾う
  • 次に変える一点は何か:性格ではなく、順番・時間・言葉を一つ選ぶ
  • うまくいった例はあったか:小さくても、消さずに残す

たとえば「また仕事を先延ばしした」ではなく、「15時に見積書を開いた。金額が合わない気がして不安になり、先にメールを返し始めた。次は数字の確認だけを10分やる」と書く。これなら次回、変える場所が残ります。

これは自分を監視するためではありません。失敗を「私はこういう人間だ」という雑な結論から、条件のある出来事へ戻す作業です。あなたがダメなのではなく、ある条件で、ある反応が出た。それだけのところまで戻す。そこからやっと学習が始まります。

「またダメだ」が、次の失敗を準備してしまう

同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由 のイメージ 2

自己成就予言という心理学の概念があります。「また失敗するに違いない」という予測が緊張や不安を生み、その状態が実際の振る舞いを変え、予測に近い結果を招く現象です。

仕組みはわりと露骨です。失敗を予測する→自己効力感が下がる→身体が警戒モードに寄る→注意の幅が狭くなる→確認や質問を避ける→失敗の材料が増える。失敗すると、「ほらやっぱり」と予測が補強される。

脳は予言者というより、予測に合わせて行動を急かす演出家みたいなところがあります。「また失敗する」と決めた瞬間、視野は狭くなり、確認する余裕も、人に聞く余裕も削られる。だから予測が当たったように見える。でも、予言が的中したのではなく、予測が行動を押していた場合があるんです。

火曜の朝、コンビニのレジ前で取引先へ電話をかける直前、「前も説明が下手だった」と思い出す。喉が乾き、早口になる。相手が一瞬黙っただけで焦り、確認せずに「ではその方向で」と切ってしまう。午後になって認識違いがわかる。電話を切ったあと、「やっぱり自分は説明が苦手だ」と思ってしまうこと、あると思います。能力が急に消えたわけではなく、予測が注意と行動を急かしたわけです。

確証バイアスもここに絡みます。「自分は失敗する人間だ」という信念があると、その信念を支持する証拠ばかりを拾い、うまくできた場面を小さく扱う。10件中9件に返信できていても、既読のまま返せなかった1件だけを夜の布団で再生する。客観的な成績表より、頭の中の編集方針のほうが行動に強く影響することがある。

あなたは、失敗の証拠だけ集めていないだろうか。褒められたメールは流し読みして、短い指摘だけを何度も開き直していないでしょうか。人は不思議なくらい、自分を責める材料の保管がうまいんですよね。

ここで「自信を持とう」は雑すぎます。自信がない日に、自信を製造しようとしても、だいたい在庫がない。代わりにやるのは、予測を事実扱いしないことです。「私は失敗する」ではなく、「いま、失敗するという予測が出ている」。この言い換えだけでも、予測と自分の間に少し距離ができます。

距離ができると何が変わるか。たとえば電話の前に一回だけメモを見る、「確認したいことが二つあります」と先に言う、返事を急がず「持ち帰って整理します」と言う。小さな動作が入る余地ができます。自分を信じ切れなくてもいい。予測に運転席を渡さなければいいんです。

仕事の先延ばし

「面倒だ」という感情の前に、どの作業から逃げたかを特定できる。

人間関係の衝突

「また嫌われた」ではなく、相手の一言への自動反応に気づきやすくなる。

お金の使い方

買った後の自己嫌悪より、買う直前の疲れや孤独を見つけられる。

恋愛の選択

「いつも同じタイプ」から、安心より緊張を選ぶ癖を眺め直せる。

意志だけで抜けにくいループには、環境を変える時間がいる

同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由 のイメージ 3

「次から気をつける」は、悪い言葉ではありません。でも、いつもの部屋、いつもの通知、いつもの対人関係のなかで、同じ反応だけを意志で止め続けるのはかなり消耗します。警戒が高い状態では、脳は新しい選択より、慣れた選択を優先しやすいからです。

日曜の夜、洗い物を残したまま仕事のチャットを見てしまう。あるいは、相手から返信が来ないだけで何度もトーク画面を開く。そういういつもの場所では、体も頭も、いつもの役をすぐ始めます。「わかっているのにできない」は、意志が弱いというより、同じ合図のなかにずっといる問題でもあるんです。

ここでリトリートを、自然のなかで休むだけのものとして捉えるのは違うと思う。僕は、リトリートは現実逃避の癒しではなく、精神性をアップデートする道場だと思っています。頭で「わかる」ことと、人生の反応が変わることは別ものです。知識だけで止められるループなら、検索した時点でみんな困っていないはずですから。

nehanが八ヶ岳で行う走馬灯をみる旅は、2泊3日をかけて、音響共鳴、呼吸への働きかけ、身体感覚を用いながら、普段の思考だけでは触れにくい反応パターンを見つめ直すために設計したプロセスです。

目指すのは、嫌な記憶を消すことではない。たとえば「否定されると黙る」「焦ると約束を増やす」といった古い反応と、自分との間に距離をつくること。頭で理解しても動けなかった場面に、身体から別の選択のきっかけが生まれることがあります。もちろん感じ方には個人差があるけれど、日常から少し離れた設計された場には、いつもの脚本を中断する意味がある。

「休んだところで、現実の問題は消えないでしょう」と思うかもしれません。その通りです。仕事の締切も、苦手な相手も、カードの請求も消えない。でも、同じ問題の前で毎回同じ反応をするしかなかった状態から、一拍おけるようになる。その一拍は、地味ですが大きい。返信を送る前に止まれる。断れなかった頼みを考え直せる。焦って決めそうなときに「明日返します」と言える。人生は案外、そういう小さな分岐で変わります。

01

反応の正体を見つける

「また失敗した」を、感情・予測・行動の連なりとして捉え直す。

02

頭の警戒をゆるめる

安全な環境で身体感覚にも注意を向け、考えだけでは届かない部分を扱う。

03

日常の選択へつなぐ

同じ場面が来たとき、反射ではなく一拍おける感覚を育てていく。

失敗を繰り返す人は、学べない人ではありません。多くの場合、学ぶ前に自分を責める速度が速すぎる。その速度を少し落とせたら、見えるものが変わります。

「またやった」と言いそうになったとき、そこで人格の判決を出さないでください。何が起きた? 直前に何を怖がった? 次に一つだけ変えるなら何にする? まずはそこです。反省を増やすより、その場面を具体的に見直す。僕は、それが同じ失敗のループを抜ける、いちばんまっとうな入口だと思っています。

同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由 のイメージ 4
同じ失敗を繰り返す心理:反省しても抜け出せなかった理由 のイメージ 5

FAQ

Q: 同じ失敗を繰り返すのは、意志が弱いからですか? A: 意志だけで説明するのは乱暴です。疲労や不安、過去の予測、環境の手がかり、失敗を止める学習回路などが重なります。まずは「意志が弱い」と決めず、失敗直前の条件を眺めるところからで十分です。

Q: 何度も反省しているのに変わりません。反省が足りないのでしょうか? A: 反省の量より、対象の解像度が問題かもしれません。「自分はダメだ」では行動が変わりません。何時に、誰の言葉で、どんな予測が出て、何をしたか。具体に戻すと、次回の選択肢が出てきます。

Q: リトリートは、同じ失敗のループにどう関係しますか? A: 日常の役割や予定から距離を置き、思考・感情・身体反応のつながりを見つめる時間になります。走馬灯をみる旅では、長年くり返してきた反応パターンとの距離をつくり、日常での選択を見直すきっかけを扱います。

同じ失敗を止めるには、もっと自分を叱ることではなく、「何が自分をその行動へ運んだのか」を体感を含めて知ることが先です。

その見方を、知識だけで終わらせず、実際の変化へつなげるための考え方とプロセスを、無料のオンライン講座でお伝えしています。自分の反応パターンを責めずに見直したいなら、そこで話を続けましょう。

FREE PROGRAM

身体から、人生を見つめ直す入口へ

下のボタンから進み、メールアドレスとLINEをご登録いただくと、無料のオンライン講座を受けられます。記事では届けきれない“実際のやり方・体験”は、その講座でお伝えしています。

無料講座を受け取る

ご登録は無料・いつでも解除できます。リトリートは医療行為ではありません。体験には個人差があります。

出典・参考

  • 大阪大学(2023)疋田貴俊教授らによる、側坐核のドーパミンD2受容体発現ニューロンと失敗行動の抑制に関する研究発表
  • Thorndike, E. L. (1898). Animal Intelligence: An Experimental Study of the Associative Processes in Animals.
  • Merton, R. K. (1948). The Self-Fulfilling Prophecy. The Antioch Review.
  • Nickerson, R. S. (1998). Confirmation Bias: A Ubiquitous Phenomenon in Many Guises. Review of General Psychology.
  • American Psychological Association, APA Dictionary of Psychology: self-fulfilling prophecy / confirmation bias

関連記事

Yoshihiro Koitani

Yoshihiro Koitani

メキシコ移住20年。先住民族やシャーマニズムの儀式を通じて、人が自然と深くつながる原点を学ぶ。トゥルムで国際的なリトリートを企画・開催。2024年に帰国しnehanリトリートセンターを設立。「本当の私」と出会うリトリートを届けています。

関連記事

ページ上部へ戻る